2010年01月19日

砂時計(2010年1月18日TV視聴)

 松下奈緒が好きなので、思わず年末の放映を録画してしまった。どちらかというと少女時代を演じた夏帆の方が登場シーンが多いので、少々物足りなかった。青春もののラブストーリーがメインなので致し方ないか。

 原作がコミックスで、それをいわゆる昼メロと言われた時間帯に連ドラとして放映し、さらに映画化にいたる。よくあるパターンだが、すでに回収できるものは回収しつくしたドラマに魅力を与えようとするには、映画ならではの見ごたえのある映像しかない。冒頭から息を呑むほどの美しい田圃のある高台からの風景。風や光、虹、そして海に砂浜。もう、ラブストーリーを演出するお膳立てがそろっていて、なんでもありの舞台設定と言える。

 ただし、昔見た香港映画「ラブソング」のように10年にもわたってすれ違いを続けるラブストーリーに感情移入し続けるためには、ピーター・チャン監督のような演出の力量が必要だ。どうしても年月を耐えたせつなさが感じられない。

 理由はいくつか考えられるのだが、ひとつにはヒロインのかなり身勝手な恋愛のひとりずもうが、周りの人々を振りまわすところに感情移入しきれないという点があるだろう。ただし、それもこれも母が人生に倦んで自殺してしまい、置いてけぼりにあったヒロインが、うけとめきれないほどのトラウマを抱え込んだという設定なのだから、やむを得ないのかもしれない。

 たしかにそうではあるのだが、そこにホラーにも近い演出を持ち込んだのは、監督の大きな過ちだったのではないだろうか?本当に息を呑むくらいに、トラウマにうなされる夏帆の怯えた顔は怖い。こちらまで、いつくるか、いつくるかと、不安を掻き立てられて、肝心のラブストーリーに浸るどころではなくなってしまう。

 その上、冒頭に松下奈緒と相手の青年との、一年を測る巨大砂時計を前にした邂逅の場面で、最初から紆余曲折を超えたハッピーエンドは約束されてしまっている。だから、いかにしてうまくおさまるところにおさまるかという観客の関心事を満足させるには、波瀾万丈とは言わないまでも、かなり観客の胸をわしづかみするようなドラマが不可欠なのだが、それほどエモーショナルな場面も演出もなかったように思う。

 駆け足で見た挙げ句、いきものがかりの「帰りたくなったよ」を聴くためだけに、あるいは松下奈緒の笑顔を見るためだけに、2時間もの映画につきあってしまったのかなぁと、ちょっとだけ残念だった。
posted by アスラン at 19:37| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画(2000年〜現在) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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