2008年10月21日

吸血の群れ(1972年)

 ここで記憶の映画を紹介する場合、必ずしも好きだった映画ばかりとは限らない。おそらく二度と見たくないだろうが、何故か印象が強くテレビで放映されるたびについつい見てしまう部類に入る。たとえば好きでもない曲で、むしろ嫌いな曲なのに、何度も聞いてしまって頭の中をぐるぐるかけめぐったあげく口ずさんでしまう流行歌のようなものだ。

 僕は虫がきらいだ。男の癖にと言われそうだが、生理的に受け付けない。会社の同僚は足の数で好き嫌いが区別されるようで、虫は嫌いだがクモは大丈夫なのだそうだ。僕は蜘蛛は虫以上に嫌いだ。あの綺麗な蝶々でさえ苦手だ。その最たる理由は無表情で僕らのテリトリーを無断で脅かすからだが、もっといやなのは群がるように集まる様子がだめなのだ。一匹二匹であれば、心の扉を閉ざしながら「綺麗だね」とか「おもしろい格好だね」などと余裕で対応できるが、大量の虫がひとところに群れるとゾゾッと総毛立ってしまう。ヒッチコックの「鳥」などを見ると、鳥が異常に群れているのを見ると恐怖感が先に立つ事はあっても、嫌悪感はない。いったい虫と鳥とで何故こうも反応が違うのだろう。

 それでも子供の頃はこんなではなかったはずだ。ありんこの行列が縁側から居間のちゃぶ台に上がってきて大騒ぎしても怖くはなかったし、隣家のおばさんに頼まれて雨上がりにおもてに出しておいたたらいに集まったミミズの大群をつまんでは庭に投げる事もできたし、今では最大の苦手の蜘蛛でさえ、土蜘蛛の巣穴を探しては割り箸でつり上げる遊びに熱中した事も、今から考えると信じられないような思い出だ。

 一番の理由は大人になってから、泥だらけになって、裸足になって、日がな木や土に触れて遊ぶ事がなくなってしまったからだろう。汚れるのがイヤという理由で土や藪から遠ざかると自ずと虫嫌いになってしまう。ところで、僕に虫嫌いのトラウマを植え付けたものがあるとすると、「エクソシスト」と同年に公開された「吸血の群れ」だ。ストーリーはあまりよく覚えていないのだが、とにかくアメリカの田舎町で虫や爬虫類などの類がいっせいに繁殖して人間を襲うというストーリーだった。

 アメリカ合衆国の一部の州の田舎度は日本の田舎の比でなく、すぐにでも人間の生活を飲み込んでしまうような圧倒的な自然と生物に満ちている。そんな中を、僕らからするとキャンプでもなければ泊まらないような場所に住んでいる人々が、忍び寄る蛙や爬虫類の大群におそわれる。ああ、思い出すだけで気持ち悪い。なのに、73年近辺で、この映画は何度も繰り返しテレビで放映された。お手軽だったのだろう。映画館でヒットしたのかは不明だ。「エクソシスト」の回で書いたように、オカルト映画とひとくくりされたジャンルの一本と見なされていたから重宝されたのかもしれない。

 森や川や湖のそばで恐怖にさらされるというシチュエーションは、その後に大ヒットした「13日の金曜日(1980年)」でおなじみになるが、それ以前では何と言っても本作がテレビ放送の常連の座を保っていた(ような気がする)。ちなみにアマゾンで検索してみたがDVD化されてなさそうだ。観たいなぁ。えっ?いやいや、観たくない、観たくない。

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posted by アスラン at 12:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 記憶の映画を探して | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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