2008年11月07日

若大将シリーズ(1961〜1971年)

 最近、頻繁に「若大将」の姿がテレビに映し出される。パチンコのCMで、かつての映画のシーンが使われているからだ。最近のパチンコはアニメから有名テレビドラマまで、いろいろな素材でパチンコ台の新作を作っている。ほんのたしなむ程度にはまった時期が半年ほどあったきり、全然やらなくなった僕としては「CR」の意味も分からないが、とにかく「若大将」をフィーチャーしたパチンコ台ができたことだけはわかった。

 なぜ「若大将」なのかちょっと不思議だ。今パチンコをやる人の何割ぐらいが、この映画シリーズを知っているだろう。30代から下の世代は見たことも聞いたこともないのではないだろうか。僕はかろうじて観たことがある。もちろんテレビで、だが。

 前にも書いたが、小学生にとっての映画とはテレビの中の映画を指していた。今のようなBSもないし、テレビの深夜放送もない時代だった。映画はゴールデンタイム以外にも土日の昼間に盛んにやっていた。そうだ、いわゆる〈2時間ドラマ〉が存在しなかったので再放送もない。今よりも映画を放映する枠は多かったのではないだろうか。

 60年代はまだ日本映画は斜陽を迎えていない。テレビの中の日本映画は、テレビドラマの健全さとは違った怪しい魅力に満ちていた。東映の時代劇や任侠もの、東宝の「駅前」シリーズや「社長漫遊記」シリーズなどのコメディ。それに当時五社あった映画会社がそれぞれに作る個性的な映画シリーズがあった。「もはや戦後ではない」という池田隼人首相の言葉が当時の「高度成長時代」を象徴する言葉として有名だが、こと映画に関する限り戦争ものは数多く作られていた。子供のとっては重苦しい「人間の條件」や、暗いがドキドキさせられる「陸軍中野学校」、むちゃくちゃひどい軍隊生活だが、破天荒なやり方で生きながらえる勝新太郎と田村高廣コンビの「兵隊やくざ」などなど。日曜の昼下がりに映画を見るのが楽しみだった父親のおかげで、一緒になって様々な映画を観た記憶が今となっては僕の貴重な財産となっている。

 「若大将」シリーズは、そんな〈テレビの中の映画〉という記憶の一角に収まっている。僕の20代の頃にはホイチョイ・プロダクションが作り出した一連のシリーズが流行した。原田知世主演の「私をスキーにつれてって」とか「彼女が水着に着替えたら」のような、いわばトレンディードラマを先駆けたような若者向けの映画だった。これらも元をただせば「若大将シリーズ」につながるのではないだろうか。

 内容はこうだ。銀座にある老舗すき焼き屋の跡取り息子である雄一(加山雄三)は、私大に通い、キャンパスライフをエンジョイする大学生だ。全17作も作られたというシリーズでは、1作ごとに雄一が熱中するものが変わる。第一作は「大学の若大将」で、水泳部の所属して大会のために芦ノ湖に合宿するお話だ。僕の記憶にあるドッグフードのエピソードはこれだったかと思いきや、65年に作られた第5作「海の若大将」でも、やはり大学の水泳部を舞台にドラマが繰り広げられる。

 ドッグフードの話というのは、冒頭で合宿先のスーパーで買い出しをした雄一たちが安い肉の缶詰を見つけて買っていくと、それは実はドッグフードだった。宿舎でさっそくみんなで食べていると庭先の犬たちがほえまくるという愉快なオチだった。

 それ以外には、例えば「エレキの若大将」で、たしかどうしてもお金が必要となった雄一がエレキ合戦というイベントに出て優勝するというお話。なぜか冒頭でさっそくコンテストに出場した雄一たちだけれども、田中邦衛扮する〈青大将〉がアンプの線を抜いてしまって、敢えなく落選するというところが印象に残っている。

 まあ青春物のお気楽な話が多かったので、ところどころ覚えているエピソードもあるが、だいたいのところはみんな似たり寄ったりのストーリー展開なので、どれがどれなのか区別が付きにくい。17作あると言うが、どれとどれを観たのかも分からない。分からないけど、特に問題もないのが、このシリーズだ。というのも、若大将と青大将と、ふたりの間で恋のさやあてが始まる澄ちゃん(星ゆり子)が主要メンバーで、これは若大将が社会人になるまで変わらない。若大将の頼りなくて頑固な父は有島一郎だし、よき理解者でいつもニコニコしている祖母が飯田蝶子だった。

 そして毎回、澄ちゃんは青大将がどこかから連れてきて雄一と出会う。前回の映画は無かったかのように、毎回初対面なのだ。二人は惹かれあうかと思うと、好きなスポーツしか関心がない雄一の無粋な言葉に怒って、最初から二人はすれ違いになってしまう。でも途中から青大将の下心と雄一の熱血な性格とを天秤にかけて、終盤で二人は仲直りする。その時に流れるのが、お約束の「君といつまでも」だった。

 Wikiを読むと、雄一はその後に自動車会社に就職し、今度はスポーツやエレキではなくて仕事に邁進する。まるでサラリーマン金太郎みたいだ。そのときのマドンナはさすがに澄ちゃんではなく、節子(酒井和歌子)にバトンタッチした。こちらも何本か観た記憶はある。その後さらに、別の会社の社長になったり、二代目若大将が登場したりする映画がシリーズ終盤に作られたというのはWikiで初めて知った。

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posted by アスラン at 12:57| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 記憶の映画を探して | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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