2006年01月30日

「犬神家の一族」ふたたび!

 市川崑監督がふたたび「犬神家の一族」を自作リメイクするという。しかも驚いたことに金田一を石坂浩二でやるそうだ。これは尋常ではない。尋常ではないが何故かときめく。

 あのケレン味にあふれた角川映画第1作「犬神家の一族」が上映されたのがちょうど30年前。市川監督は60才。石坂浩二は34才だった。特に石坂浩二は脂がのったというのとは無縁の万年青年らしさを前面に押し出して、知性を押し隠すいわばコロンボのような飄々とした探偵役を見事に演じた。あれから30年。もうあの頃の若さはとうの昔になくなっている。しかし石坂浩二ならばなんとかしてくれる。そう期待しないでもない自分がいる。

 市川崑監督は自作をリメイクするのは、今回が初めてではない。例の「ビルマの竪琴」を白黒版とカラー版で撮っている。たしか冒頭、原作からの文章が朗読され「ビルマの土は赤い。それは戦場に散った兵士たちの血で彩られている」というような作品の重要なモチーフが語られる。それでいつの日か白黒ではなくカラーで撮り直したいという監督の執念がリメイクにつながったと当時聞いたような気がする。ただしそれとは関係なく、忠実に前作の脚本をなぞったリメイクを見ると、白黒版の方がよかったという気がしたのだ。それはやはり監督のモチベーションと見る側のモチベーションの隔たりというものかもしれない。

 で、今回の「犬神家」である。果たして監督のモチベーションはどこから来ているのか。うがって考えてみると、やはり90才という高齢。一作一作がこれで最後という気持ちにならざるをえないだろう。本人のやる気と担ぎ出したプロデューサーの下心がどの程度の比率かわからないが、それにしても監督には金田一耕助シリーズでやり残した思いがあるのかもしれない。

 というのも例の「八つ墓村」でトヨエツを使って仕立て上げた新・金田一はお世辞にもいい出来とは言えなかったからだ。あの作品の失敗は僕に言わせればひとえにトヨエツというキャラクターが金田一耕助に不向きだったからだとしか思えない。やはりどうしたって同じ監督がやるからには、彼の中には石坂演ずる金田一のイメージがあっただろうが、トヨエツ当人を見知ってもいないお仕着せの配役から、かつての情熱ある作品作りを期待する方が無理というものだろう。

 では今回はどんな金田一作品で締めくくる事になるのか。新しい手法も取り入れるとの事だが、できれば加藤武と大滝秀治は同じ役でキャスティングしてほしいものだ。惜しむらくは三木のり平が世を去ってしまっている事だ。彼に変わる人材を思いつく事は難しい。

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posted by アスラン at 13:08| Comment(2) | TrackBack(3) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
市川崑って、ほんとうに不思議な監督ですよね。
この企画もチャレンジャーとしか言いようがない。
やはり、最初の犬神ちゃんは、衰退しかけていた日本映画、角川ちゃんへのリップサービスで派手に作りすぎたから、自分なりに作り直したかったのでしょうかね。

『ビルマの竪琴』
僕は新版も結構いけました。
中井くん(爆)の困った顔が映画全体に困った雰囲気を醸し出していて、なんか、面白かったなぁ〜
Posted by すのじ at 2006年03月09日 01:30
すのじさん、返事が遅くなりました。
コメントありがとう。

老いてもチャレンジャー精神を忘れないバイタリティ溢れる監督さんなんですね、きっと。

「犬神家の一族」は、その後の金田一シリーズがどこか旅情というかロマンが感じられるのとは違って、おどろおどろしさが前面に出ていてシリーズ中ではあまり好きな方ではないですね。

 もっとグランドホテル形式の絢爛さがあると面白いかなぁと思うんですが…。

 ところで前にテレビの稲垣吾郎版「犬神家の一族」を見たら、場面設定やシーンのひとつひとつが明らかに市川版をパクっていたのにはあきれました。一方で市川監督のイマジネーションに改めて感服しました。

「ビルマ…」は新版でも悪くないですよ。ただ前のを見てるとリメイクする必要あるのかなぁって思っただけで。ただ今回の「犬神家」リメイクを考えると、映画って古びる媒体だから、ああそうか、今の世代にもまた見てほしいんだなぁって思いますね。映画にどん欲なんだなぁ。
Posted by アスラン at 2006年03月14日 23:14
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「犬神家の一族」再び
Excerpt: この方の洞察は凄いです。推理力は金田一以上といえましょう。 角川映画の30周年で「犬神家の一族」をリメイクするそうですが、なんと監督市川崑、主役の金田一耕助に石坂浩二という30年前と同じメンバー..
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