僕のDVDレコーダーには、30時間以上も「刑事コロンボ」が録画されている。BS−Hiで毎週放送しているからだ。といっても、同じように「相棒」も録画していて、第7シーズンに至るまでほとんど見てこなかった遅れを、今更ながら取り戻そうと再放送をとりまくり見まくりしているので、なかなか2時間枠のコロンボを見る暇がない。
その上、「新」がつくコロンボは当たり外れがあるという話なのだが、タイトルからどれが見応えあるかはわからない。その意味では、今回の作品は見覚えがあるので少し安心だ。確か新コロンボシリーズを日本テレビで初放送した際に、何本か見た中の一本だ。先日見たスピルバーグの若き日の姿とみまごう映画監督の犯罪の回や、セラビストが娼婦に扮して愛人を殺害する回などとあわせて、よく記憶している。
脳天気な大学生二人がコロンボをだまして、自ら企てた教授殺害を別の容疑者の仕業と見せかける。ロバート・カルプが特別ゲストとして出演していて、旧シリーズの「指輪の爪あと(1971年)」の時と同様、自信たっぷりな弁護士役で登場するのは、昔からのファンへのサービスであり、お遊びだが、解決に至るプロセスはいたって平凡だ。
いや、コロンボシリーズらしく見せてくれてはいるが、僕が気になるのは、コロンボが自信をもって、最初から犯人に目星をつけていたと最後の最後に犯人に言い放つ得意の場面がないからだ。いや、ないどころか、要所要所で犯人の大学生二人がボロを出してくるのを見かける事で、次第に彼らを疑いだす。これはふつうの刑事ドラマでは当たり前でなんの問題はないのだが、コロンボにしてはまずいやり方だった。
コロンボは「能ある鷹は…」の格言通り、自らの叡智を最後の最後まで隠し持って、犯人には無能と思わせて油断させる。しかし一方で視聴者には的確に犯人を見抜いている事を知らしめておいてくれる。そして最後に完膚無きまでにたたきのめされた犯人の「いつから疑いだした」という疑問に「最初にお会いした時からおかしいと思ってました」と、胸のすくような台詞を言い放つ。この時の僕らのカタルシスは例えようがない。これが、普通の刑事ドラマと同じタイミングで犯人が分かるようでは、コロンボと言えないのだ。
2009年10月09日
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