2009年11月25日

NHKスペシャル「魔性の難問〜リーマン予想・天才たちの闘い〜」(2009年11月25日視聴)

 深夜。かなり遅めの食事をとり、翌日の夕食の支度をすまそうと冷蔵庫を開けると、用意されているはずの宅配会社の食材が見あたらない。レシピを見ると、「さけのコロコロステーキ」の食材がなくてはならない。影も形もない。ママが注文しそこなったようだ。あれまぁ。

 おもわぬ時間の余裕ができたので、とっとと寝ればよかったのに、DVDレコーダーの録画番組の整理をしないと残時間が尽きてしまうと思い立って、寝かしつけた息子を横目にしながら、居間のテレビとレコーダーのスイッチをつける。

 NHKスペシャルが2本、どちらも数学関連のドキュメンタリー。これは意図的な企画なのだろう。どちらも、ある「予想」にまつわるストーリーだ。「リーマン予想」と「ポアンカレ予想」。どちらも耳にしたり目にしたりはするが、その内容はと言うと、ほぼ知らないと言っていい。

 実はうとうとしながら「魔性の難問」を見ていたので、何度もエンドタイトルを見てはテープを、いやHDを巻き戻し、繰り返し再生した。ようやく見終わってからもう一本の冒頭も見て、電源を落として寝た。「ポアンカレ予想」は宇宙の形に関する予想らしい。つまり、同じ「予想」と言っても、かたや数学の問題、かたや宇宙(天文学・物理学)の問題だ。

 「予想」という言葉は、証明されていない、科学者(数学者)の直感のようなもので、証明されないかぎり定理にはならない。ただし、どう調べてもそうなりそうだという科学者(数学者)たちの合意が形成された、特定の直感というべきなのだろう。

 「フェルマーの最終定理」が証明された事が話題になったが、あれも実は定理とは本来呼べない。フェルマーが「私は証明した」と書き残したために定理に格上げされているが、証明は書かれていなかったからだ。イギリスの数学者ワイルズが300年後に証明するに至って、名実ともにようやく定理になったわけだ。

 では「リーマン予想」とは何かと言えば、これまた難しい話が山ほどでてきそうだ。ただし番組では、僕ら素人にも興味が持てて理解可能な部分にだけ焦点をあてて、さらっと説明している(のだと思う)。

 そもそもオイラーが整数論の中で注目した素数に関するさまざまな謎に対して、ひとつの道筋を与えたのがリーマンだった。素数は誰もが知っているように、何の規則性もなくランダムに出現する、きわめて特徴的な数だ。オイラーの「素数階段」では、どこまで行っても素数の法則などみつかりそうにない。この性質を応用して、コンピューターシステムのセキュリティーに「非常に大きな素数」が使われている事は、僕にも理解できる。きわめて大きな素数を暗号キーに用いると、世界最速のスーパーコンピューターで計算したとしても、解読に数百年はかかると言われている。

 さて、この素数を入力として「ゼータ関数」という函に通してみると「出力する数値のグラフは一直線上に並ぶ」というリーマンの直感こそが「リーマン予想」に他ならない。ここでゼータ関数がどんなものなのかは、素人である僕らは一切知る必要はない。なんの法則も見いだせなかった素数が、一定の操作をするだけで整然と一列に並んでしまうというところだけが重要なのだから。これが解ければ、素数の意味だけでなく、宇宙を支配する原理さえも見えてくるかもしれない。そんな壮大なロマンを秘めている。

 しかし、数学的なロマンを夢想するのはここまでで、このあとは「リーマン予想」にまつわる人間ドラマ、あるいは悲劇を描く事が主眼となる。「リーマン予想」に生涯をかけた天才数学者たちの何人もが、あえなく挫折し、ある者は人生そのものを狂わせてしまう。ワイルズのように最後に証明できれば「めでたしめでたし」なのだが、いまだに証明には至らず、あまりの挫折感から「リーマン予想が間違っている」と晩年に言い続けた数学者もいる。このことがその後の研究の足かせになったらしいが、まったくのところ痛ましいとしか言いようがない。

 ドラマは50分の中で駆け足で人間ドラマを浚っていったので、感動するまでにはいかないが、「リーマン予想」の面白さを僕に教えてくれるには十分だった。さっそく図書館で検索すると、「素数に憑かれた人たち」(ジョン・ダービーシャー)が見つかる。これでも読んで、もっと「リーマン予想」を味わいつくそうか。
posted by アスラン at 12:54| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | TVダイアリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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