2006年03月17日

僕が選んだ1998年ベストテン+お気に入り10本+ワースト5本

 「大いなる遡行1998年」が終了した。

 この年、映画館で観た映画は全部で178本だった。

 この中から当時年間ベストテンを選んでいる。これは今になっても変わらないが、ひょっとしたらもうすでにレンタルビデオでも借りられない映画が1本だけありそうな気がする。万人受けするかどうかは別にして、出来のいい作品が埋もれてしまうのは本当に惜しい。

 さて残りの168本から、もう10本だけお気に入り映画を選んでみた。ほんとは選んでみると30本お気に入りが見つかったのだがキリがないので10本だけ厳選した。前にも書いたがベストテンを選ぶときの気負いはなくて、本当に楽しんで選べた10本だ。

 ついでに座興でワースト5も選んでみた。あまり他意はないが、それにしてもちょっとはケチをつけたい作品だった。なにせお金を払って観てるんだからね。

1.桜桃の味(アッバス・キアロスタミ)

 キアロスタミの映画は毎回毎回その演出とカメラワークに驚かされるが、今回ほど胸を打たれた作品はない。自殺する事に憑かれた主人公の男の横顔とその語り口がいつまでも心に残る。

2.ゲット・オン・ザ・バス(スパイク・リー)

 スパイク・リーというと黒人社会の抱えている問題をとりあげた作品が多いが、「クルックリン」のような少年時代の貧しくも楽しい家族を描いた作品も撮っている。そのまなざしは暖かい。この作品もひとつのバスの中に詰め込まれた様々な黒人たちがまさに黒人社会の縮図になっているという趣向で分かりやすく描いているが、同時に黒人たちへの暖かなまなざしに貫かれている。

3.シーズ・ソー・ラヴリー(ニック・カサヴェテス)

 あの今は亡きジョン・カサヴェテスが書いた脚本を息子である監督が映画化。狂おしいほどに愛し合う一組の夫婦を描いた作品。ショーン・ペン、ロビン・ライト・ペン夫妻が演じているが、まさにはまり役で、特に愛しすぎてロビンへの思いを抑えきれないペンの演技は演技を超えた現実ではないのかと思えるほどだ。

4.HANA-BI(北野武)

 静けさが美しい「あの夏、いちばん静かな海。」。若さが痛いほどキラキラしている「キッズ・リターン」。そしてとにかく懐かしくてあったかい「菊次郎の夏」。北野監督は「HANA-BI」前も後も、変わることなく映画好きを楽しませてくれる。

5.ハムレット(ケネス・ブラナー)

 「ハムレット」とはこういう作品だったのか。ハムレットとはこういう男だったのか。初めてシェークスピアの原作のすごさに触れたかのように感じられた見事な演出だった。

6.バンドワゴン(ジョン・シュルツ)

 個性溢れる四人の若者が売れるバンドめざしてワゴンに乗って巡業に出かける、まさに青春映画。だがこの四人の個性がありすぎるところが最高に面白い。そして彼らが伝説のマネージャーに出会って才能を開花し、クライマックスまで突っ走る疾走感がたまらない。 

7.ダークシティ(アレックス・プロヤス)

 夜しか訪れないダークシティでは、毎晩深夜にその世界がおぞましくも姿を変えていく。そのグロテスクでかつ奇妙な世界の変形は観ている者を圧倒する。

8.ディープ・インパクト(ミミ・レダー)

 劇画「アルマゲドン」のド派手さと比較されてしまった不幸な作品。隕石衝突というモチーフ以外は何一つ似ていない映画だ。なによりミミ・レダーのクールな人間ドラマが楽しめなければ、摩天楼を超えるほどの波が来ようが、隕石の破片が飛び散ろうが、一切が無意味な映画なのだ。

9.ムトゥ 踊るマハラジャ(ケー・エス・ラヴィクマール)

 スーパースター・ラジニカーントはいまだお元気なのでしょうか?ほぼこの作品と数作で、日本でのブレイクは終えてしまった彼ですが、いまいちど燃えるようなあなたのマサラムービーを観てみたいのです。

10.追跡者(スチュワート・ベアード)

 監督は元々編集が専門だったみたいだ。なるほど場面場面の切り替えがうまいのはそのせいか。トミー・リー・ジョーンズを筆頭とする追跡者たちプロと、逃亡者であるウェズリー・スナイプス。それにFBIから派遣されたロバート・ダウニー・ジュニア。三者の思惑が入り乱れる展開が見応えあった。

 以上がベストテン。ここからがお気に入りの10本。もちろん順不同。

ピースメーカー(ミミ・レダー)

 確かミミ・レダーさんは「ER/救急救命室」からスピルバーグに手腕を買われて、本作品で映画監督に。もちろん制作はドリームワークス。それからさきは「ディープ・インパクト」「ペイ・フォワード」で、その後がない。重役になっちゃったんだっけ?惜しいなぁ。

てなもんや商社 萬福貿易会社(本木克英)

 もちろん手柄は監督さんにある。てなもんや商社には小林聡美の新人以外に、渡辺謙の王課長、香川照之の先輩社員、柴俊夫の部長と役者が揃っていて演出もふるっている。でも何より、小林聡美というキャラクターのおかしさが成功のポイントだろう。

愛を乞うひと(平山秀幸)

 中井喜一に原田美枝子。この端正な役者に端正な子役たち。そして端正な映画作りを得意とする平山監督。それはそれは見事な映画になるわけだ。

がんばっていきまっしょい(磯村一路)

 もう何も言うことない。もし一年前なら声高にこの映画の良さを叫んでいただろうが、TVドラマ化され原作も再び脚光を浴びた今となってはね。とにかく美しくて切なくて言葉にならない青春映画だ。

(ツァイ・ミンリャン)

 ツァイ・ミンリャンの映画はキアロスタミ同様毎回驚かされる。特にこの「河」の人間の本質・家族の本質をえぐり出した演出はすさまじい。目を背けたくなるような残酷なほど孤独な人々が描かれている。

アウト・オブ・サイト(スティーヴン・ソダーバーグ)

 ソダーバーグの職人芸はますますみがきがかかってくるのだろう。おそらくジェニファー・ロペスのもっとも成功した映画であり、ジョージ・クルーニーの二枚目を気取ったポーズとその実三枚目に過ぎないという本質がもっとも役側にマッチした映画だった。

恋の秋(エリック・ロメール)

 ロメールの「四季」シリーズの最終作。このシリーズはどれもこれも楽観的で結末が安易にロマンティックな佳作なのだが、この作品も期待を裏切らず楽しませてくれる。

キリコの風景(明石知幸)

 「キリコ」というから画家のキリコのことかと思ったら、主人公の男が探す別れた妻の名前が霧子だった。と思ったら映画解説を読むと舞台となる函館がキリコの絵を思わせるということでもあったらしい。しかし、またもや小林聡美だ。彼女はこんな映画に似合っている。「そこはかとなくおかしい」というキーワードは、今現在の彼女にも通用する。

ムーラン(トニー・バンクロフト/バリー・クック)

 一家の代表として男と偽って戦地に赴くムーラン。しかもお供はやくたたずの竜という設定。いろんな要素が盛り込まれて楽しませてくれるが、なによりアジア風の心の優しさ、内面の美にこだわった演出が端々に観られるて感心する。

ラヴソング(ピーター・チャン)

 テレサ・テンの流行歌が、レオン・ライとマギー・チャンの長きにわたるすれ違いにピリオドを打つ役割を担っている。テレサの死亡ニュースを伝えるテレビに引き寄せられて二人がついに再会を果たすのだが、そのゆるやかでたんたんとした場面の演出は素晴らしい。 

 以下、ワースト5。特にコメントはない。

ラブ&ポップ
ポネット
ゴジラ
アナスタシア
プライベート・ライアン 

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posted by アスラン at 02:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 大いなる遡行(1998年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントありがとうございました
しんです

プライベート・ライアンがワーストってのが僕的にポイント高いです
私もあの映画初めてスピルバーグに幻滅した映画でした。フックもアミスタッドも好きな私が!!!
あれから8年もたって多少考えは変わってますが、前半30分がなければ水準以下、ラスト30分もなければワーストクラスだとは今でもそう思ってます。

98年のマイベストは
洋画
1 キャリアガールズ
2 フラワーズ・オブ・上海
3 LAコンフィデンシャル
4 恋愛小説家
5 ピースメーカー
6 アウト・オブ・サイト
7 カルラの歌
8 ブラス!!
9 シーズ・ソー・ラブリー
10 ジョー・ブラックをよろしく

邦画
1 BLUES HARP
2 愛を乞う人
3 カンゾー先生
4 四月物語
5 中国の鳥人

です。
またよろしくです
Posted by しん at 2006年03月21日 21:47
しんさん、コメントバックしてくれてどうもありがとう。

「プライベート・ライアン」に関する評価と「アミスタッド」に関する評価はお互い一致するようですね(笑)。

「BLUES HARP」のみ見てないので除くとして、一作をのぞけば特に異論はないランキングですね。どの一作はと言えばブラピのあれです。40年前のリメイクの古くささを一掃できていないというのが理由です。
Posted by アスラン at 2006年04月02日 23:42
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