2005年06月04日

1999年6月20日(日) 「サイモン・バーチ」「タンゴ」

 シネセゾン渋谷で「サイモン・バーチ」(no.60)を観る。

 朝の初回から結構入っていてびっくり。

 12才のサイモンは生まれつき体が大きくならず、両親は彼を疎ましく無関心を装っている。そんな彼の親友はジョー。ジョーの母は飛び切りの美人だが未婚のまま父親が誰なのか語らないため、世間から私生児扱いされる。そんな世間から冷たい目で見られている二人の友情物語を60年代のアメリカの田舎町を背景に描いてゆく。

 「ガープの世界」で知られるジョン・アーヴィングの原作の映画化であり、ノスタルジックでかなりセンチメンタルな内容をユーモアたっぷりに描き出している。

 サイモンはその賢さゆえに牧師から目をつけられるが、「自分の小さな体に神様はどんなプランをお持ちなのか?」と逆に相手を問い詰めてしまう。
 でもそれはサイモンの信仰深い真実の問いかけであることを誰も理解しない。

 もちろんこの手の映画の結末は悲しいものと相場が決まっているが、それでも悲しいだけでなく残された登場人物も観ている僕たちも救われるような結末であることがうれしい。

 ル・シネマで「タンゴ」(no.59)を観る。

 カルロス・サウラ監督がタンゴを題材にとった作品。

 以前、「血の婚礼」「カルメン」といったフラメンコを主題にした映画を撮っているが、今回は「カルメン」のタンゴ・バージョンの趣きがつよい。

 タンゴを題材にした映画を撮る映画作家の目から観たタンゴ・ダンサーたちの練習風景。その中に自分のもとを去った妻がいて新しい恋人と踊っている。

 嫉妬や憎しみや情熱。そういった情念の世界が、乾いてクールな練習風景の中に織り込まれていく。

 観客である僕たちは、そのモダンなタンゴの練習風景に圧倒されながら、同時にタンゴを踊る人々の内面やタンゴに深く堆積している歴史そのものさえも暴きだしていくサウラ監督の演出の魔術に身をひたすばかりだ。

 しかも映画作家が影のオーナーの愛人である新進のダンサーに目をかけるようになってから、物語はがぜんサスペンスじみてくる。
 まさにあの「カルメン」をなぞっているかのような展開なのだが、ラストはそれを逆手にとった結末となっている。
posted by アスラン at 00:01| Comment(0) | TrackBack(1) | 大いなる遡行(1999年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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神様が彼に与えた「プラン」とは◆『サイモン・バーチ』
Excerpt: サイモン・バーチ(イアン・マイケル・スミス)は、メイン州グレイブズタウン・メモリアル病院始まって以来の小さな赤ん坊だった。 すぐに死んでしまうだろうという医師たちの懸念をよそに、サイモンは奇跡的に..
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