2005年06月10日

1999年5月2日(日) 「39−刑法第三十九条」「大阪物語」

 「39−刑法第三十九条」(no.39)を観る。

 濃密な緊張感を描いた「ときめきに死す」のような映画を期待したいところだが、商業映画としての成功が課せられている森田芳光監督の現状からはかなわぬ夢かもしれない。

 しかし岸辺一徳、樹木希林ら登場人物すべてが乾いた演技をしていて、社会的な問題(心神耗弱者の犯罪)を扱ってはいるが従来の社会派推理ドラマとは一線を画した作品になっている。




 前半の森田独特の乾いた演出がよかっただけに、ラストの真実がそれほど驚かされる内容ではないのが残念。最近気づいたのだが、テレビや映画館で盛んに流れた予告で香深(カフカ)を演じる鈴木京香のセリフには事件の真実が明かされている。まあ、なんと大胆な!

 テアトル新宿で「大阪物語」(no.38)を観る。

 市川準が自ら演出した「三井のリハウス」のCMに起用した少女・池脇千鶴を主演に据えて大阪を描いた。前作「たどんとちくわ」から急激に本領を発揮し出したと僕には思える市川準が、本作ではCMディレクタの実力を余すところなく出して市井に生きる大阪の人々を見事に描き出した。

 コテコテの関西人を描くでもなく単なる人情ばなしでもない。それでも大阪という街がもつぬくもりと、明るさの裏に隠された切なさみたいなものがストーリにうまく織り込まれ、池脇千鶴演ずる霜月若菜の視線を通して生き生きと描かれている。森繁と淡路の「夫婦善哉」の世界だな、これは。

 沢田研二と田中裕子の夫婦もすばらしい。
posted by アスラン at 23:55| Comment(2) | TrackBack(2) | 大いなる遡行(1999年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとうございました。
Posted by かみぃ@未完の映画評 at 2005年06月15日 02:03
かみぃさん、こちらこそありがとう。
Posted by アスラン at 2005年06月16日 00:09
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/4270479
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック

大阪物語
Excerpt: やっぱり映画の事を語りたいということで、『大阪物語』です。あはは 『ジョゼと虎と魚たち』を見てから
Weblog: あいりのCinema cafe
Tracked: 2005-06-11 07:56

【映画評】大阪物語
Excerpt: 市川準監督による少女の成長を中心に描いた人間ドラマ。
Weblog: 未完の映画評
Tracked: 2005-06-15 02:01
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。