2006年06月12日

「イルマ・ヴェップ」(1997年5月4日(日))

 渋谷シネセゾンで「イルマ・ヴェップ」(no.2)を観る。

 香港の女優マギー・チュンが主演のフランス映画というのがかなり変っている。

 イルマ・ヴェップというのはサイレント時代に大当たりした吸血鬼のヒロインの名前である。ヴァンパイアのアナグラム(綴りの並べ替え)だそうだ。この映画をリメイクしようとする過程を裏側から描いている。

カチンコ
 映画の内容は今となってはほとんど覚えていない。とにかく支離滅裂な映画だった。マギー・チャンをフランス映画の往年のヒット作に主演に据えるというところからもちろん支離滅裂なドラマを描いていく事は予想できたのだが、何しろ「楽園の瑕」「ラブ・ソング」でその端正な美貌を見せつけた彼女が扮するコスチュームがゴム製のピッチピチのアブノーマルなスタイル。らしくないところが魅力的に見えるならまだしも、違和感ありまくりで、内容ともども監督のファッションセンスにもついていけなかった。

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2006年06月08日

「マイケル」(1997年6月13日(金))

 銀座松竹セントラルで「マイケル」(no.3)を観る。

 ジョン・トラボルト扮する天使マイケル(使徒のミカエルのこと)が、田舎町のモーテルを経営する老婆のもとに居候している。それを都会の新聞社が聞きつけて都会につれてこようとする。

 どうみても天使に見えない見栄えの悪いおかしな天使マイケルをトラボルタが好演。町のバーで踊り出すシーンはトラボルタの面目躍如

カチンコ
 当時の日記ではあまりにあっさりと書いているので補足しよう。この映画の見どころは二つある。

 ひげ面で髪はボサボサ。体も締まってないで見てくれもホームレス同然の男が田舎町の老婆のところに居座る。しかもこの男ひょうひょうとして意外と図々しい。ある意味老婆の人の良さにつけ込んでいるとも言える。それが実は天使であり、文字通り天界から落ちてきた堕天使が引き起こすハートウォーミングな騒動という取り合わせがなかなか楽しいのだ。

 もう一つの見どころは、堕天使ミカエル(地上ではマイケル)を演じているのがジョン・トラボルタであること。この時期のトラボルタは、「サタデー・ナイト・フィーバー」で見せたやせぎすで精悍な若者のイメージは見る影もなく、酒太りのオヤジになろうとしていた。その後悪役やら脇役やらなんでもこなすバイプレーヤーに成長するのだが、この頃が俳優にとっての一番の危機だったかもしれない。

 しかし当の本人はこの映画で見る限り、過去で食いつなぐ俳優には見えなかった。でぶっちょになった自分を恥じてもいないで今を愉しんでいるように見えた。それが町のバーで自分に好意を寄せている女性と踊るシーンでの、重そうな体で軽々とステップを踏むシーンにとてもよくあらわれているのだ。

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2006年06月06日

「スターウォーズ特別篇」(1997年6月14日(土))

 日比谷スカラ座で「スターウォーズ特別篇」(no.4)を観る。

 かつての作品にフィルム処理・音声処理・CGの挿入などの手を加えて再編集したものがこの特別篇である。

 実はこのシリーズは一作も観ていないので一度は観ておこうと思っていた。正直言って退屈な映画だ。チープなストーリーが逆にこの種のスペースオペラの魅力であるのは分かるけれども、それならあれ程の金をかけて作る必要もなかったような気がする。

カチンコ
 チープなストーリーというのはちょっと説明がいるかもしれない。そもそもルーカスは、後年クイーンのメインテーマで有名になるあの「フラッシュゴードン」を撮りたかったらしい。権利問題で果たせなかったルーカスは自前でスペースオペラを書き、自分で監督をすることを決意する。その結果が「フラッシュゴードン」のようなパルプフィクションさながらのB級テイストをとことん払拭したSFX映画になった。

 確かに最新のテクノロジーによるSFX映画としては成功したが、それに釣り合うドラマ作りには失敗している。このシリーズの特徴として、必ずSFXを駆使したスペースアクションの場面と、どこか地上で繰り広げられる主人公たちの肉弾戦の場面がクライマックスで交錯するのだが、両者の映画全体としての統一感がなく別々の映画を交互に見せられている感じがする。壮大なサーガでありながら主人公たちが生きる世界はひどく平板で立体的な厚みがない。

 そもそもがB級テイストを生かしたスペースオペラであれば、この平板な世界観を逆に面白さへと転化できただろう。その意味で最新のテクノロジーを映画に導入した結果、人間ドラマの演出不足が際だつという皮肉な結果となったのだ。

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2006年06月05日

「クローンズ」(1997年6月24日(火))

 6:30PMから有楽町よみうりホールで試写会「クローンズ」(no.5)を観る。

 初代バットマンのマイケル・キートン主演。

 自分のクローンを次々と作ってもらい、仕事におわれる毎日を何とか解消しようとするお話。自分のクローンが3人も出来てしまい、それぞれがクローンなのに本人とは違う個性をもつおかしさ。キートンが4役をうまくこなしている。彼は顔に愛嬌があり、馬鹿々々しい話を面白くみせてくれる。

カチンコ
 試写会で観る気楽さもあったが、なかなか拾いものの面白さがあった。傑作!

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2006年06月04日

「世界の涯てに」「鉄塔武蔵野線」(1997年7月5日(土))

 渋谷東急本店前のシネ・アミューズで「世界の涯てに」(no.7)を見る。

 リー・チーガイ監督は香港の人で、「月夜の願い」でもそうだったが妙にメルヘンチックなコメディを作る人のようだ。

 今回はコメディではないが、不思議な甘さを漂わせたラブストーリーになっている。映画そのものは期待してた程ではないが、人気上昇中の金城武が好演している。

カチンコ
 ケリー・チャンと金城武が共演。ケリーとはその後「アンナ・マデリーナ」でも共演している。ケリー自体があまり色気の感じられる女優ではないので直球ど真ん中のラブストーリーにはならない。本作でも裕福だが不死の病に冒された彼女の自由気ままな性格に、純情な青年である金城武が振り回されるという、ちょっとずらした形のラブコメディになっている。

 昼食をとって新宿に移動。新宿テアトルで「鉄塔武蔵野線」(no.6)を見る。

 原作は日本ファンタジーノベル大賞をとった小説だ。

 ある夏六年生の見晴は武蔵野線72号鉄塔を見出し、その先の果てにある1号鉄塔を目指して冒険に出掛ける。

 誰もがかつて経験したあの暑い夏休みの記憶が呼びさまされる。ちょっとほろ苦く、ちょっと悲しい少年の心がよく描けている。

カチンコ
 主役の少年見晴を演じているのは、今や「電車男」と「海猿」それに新しい「西遊記」で旬の俳優の仲間入りを果たした伊藤敦史である。そのへんの事情と詳しい映画の解説については、
 「鉄塔武蔵野線」あるいはもうひとつの「電車男」
を読んでほしい。

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2006年06月02日

「東京夜曲」(1997年7月12日(土))

 新宿松竹ピカデリで「東京夜曲」(no.8)を観る。

 市川準監督の前作「東京兄妹」を見たとき、僕はこんな事を書いている。

「こんな映画を本気で撮る市川準とは何だ、大バカとしか言いようがない」

 僕が苛立っていたのは、小津安二郎ばりにローアングルにカメラを固定して彼と同じようなシーケンスでカットを挿入していけば小津のようなドラマが生まれるとでも思っている市川監督の安易な姿勢だった。

 今回も小津を意識した撮影手法は変らないが、内容はずっと良くなった。つまりドラマは市川監督自身のものになっているということだ。

 下町の商店街の男女三人の過去がすこしずつ分ってくる筋立ても面白いし、なにより役者が揃っている。長塚京三、桃井かおり、倍賞美津子の三人の演技に負うところの多い映画だ。

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2006年05月31日

「ロストワールド ジュラシック・パーク」(1997年7月16日(水))

 会社帰りに日比谷へ出て日比谷映画で「ロストワールド ジュラシック・パーク」(no.9)を見る。

 僕と同じように会社帰りというカップルや同僚同士が目につく。週末だと混むので平日の夜に見ておこうという気分も同じだろう。

 SFXは凄い筈だがその凄さが伝わらない。例えばT-Rexが船に乗って島から米国本土に上陸してしまうシーンも怖いというよりは笑えてしまう。住宅地をうろうろするシーンなどはコマ取りのフィギュアであっても十分演出意図に応えられたのではないか。

 それにドラマ自体がT-Rexの親子のヒューマニズム物語であるのは、SFXが追求するリアルさとは逆向きで興味がそがれる。登場人物も深く描かれていないので、主人公のマルカム(ジェフ・ゴールドブラム)以外は魅力を感じられない。

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2006年05月30日

「スターウォーズ・帝国の逆襲」「もののけ姫」(1997年7月20日(日))

 快晴。今日から学生は夏休みらしい。日比谷へ出る。初回ならやや空いているだろうとスバル座を覗いたが「もののけ姫」は立ち見。
 
 当初の予定通りスカラ座で「スターウォーズ・帝国の逆襲」(no.11)を見る事にする。

 三部作とも実は一度も見ていないので「特別篇」と言われても何が凄いのかよく分らないが、特撮はよく出来ているのは確かだ。でも正直言って何がおもしろいのか第一作は分らなかった。

 今回は話にテンポもあり、レイアとハンの恋やルークの向こう見ずな冒険を通して人物が割合いよく描かれているので三作目に期待が持てた。

 みゆき座が「スリーパーズ」を打ち切って「もののけ姫」(no.10)を上映している。

 昼食後、3;30の回を見る事にして1時間30分前に入場する。2時間15分の大作なので帰りは6:00になる。

 テーマは自然と人間の共生だが「トトロ」のように判りやすくはない。答の出ない人間永遠のテーマを真正面からとらえた物語だ。答は一つでない以上ラストはすっきりしたものではないが、人間がいつかどこかに置き忘れて来た自然への畏怖や崇拝をもう一度考えて見るべきだという問いかけは、おそらく「トトロ」「ナウシカ」と共通のものだろう。

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2006年05月24日

「THE END OF EVANGELION」(1997年7月21日(月))

 快晴。銀座の松竹セントラルで「THE END OF EVANGELION」(no.12)を観る。

 さぞかし混むだろうと10:50の回を見るのに9:30に入場したがロビーには10数人しかいない。結局この回は空いていたし、出るときも次の回には列ができていなかった。気の回しすぎだったかな。

 今回で完結、TVアニメ終了時に残された謎がすべて明らかにされるというのが謳い文句だが、またもや煙に巻かれた感じだ。

 人類補完計画の全貌も結局よく分らないままで終わった。ラストのシンジとアスカのやり取りも解せない。精神が解放された筈なのにアスカの首をしめているシンジは解放以前と何も変っていない。

 このシリーズは観る者にカタルシスを与えてくれることは永遠になさそうだ。

 昼食後、新宿に移動。「うなぎ」を見るつもりだったが予想に反して立ち見だそうだ。賞(カンヌ国際映画祭グランプリ)をとったとなるとどうして群がるように人が集まるのだろう。今日はやめにする。新宿では「THE END OF…」は立ち見だ。どうも松竹セントラルは穴場のようだ。

カチンコ
 「THE END OF EVANGELION」は公開当時の名称。春に公開された作品とこの作品とがテレビシリーズの総集編「DEATH」に当たる。さらに後日完結編が作られ「Air/まごころを、君に」というタイトルで上映される。

 さらにさらに「DEATH」と「Air…」を一挙上映たしたのが「REVIVAL OF EVANGELION」だそうで、さらにさらにさらに初期構想に基づいて「DEATH」パートを再編集した「DEATH(TRUE)」というバージョンがあるそうだ。

 いずれにしても「宇宙戦艦ヤマト」の死んだクルーが生き返るほどの分かりやすさが「エヴァンゲリオン」には欠けている。それこそが「エヴァ」なのだと言ってしまえばそれまでだが、一ディレクターの身勝手に付き合わされるほど迷惑なものはない

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2006年05月23日

「うなぎ」(1997年7月22日(火))

 好天。昨日果たせなかった「うなぎ」(no.13)を見に新宿に出る。

 昨日の立ち見の理由がよく分った。松竹ピカデリー3はたった53席しかない。ミニシアターもいろいろ行ったがロードショー館でこれだけ小さいところはない。スクリーンも最小だろう。名画座の並木座とタメを張れる。

 映画は掛け値なしにいい。浮気をした妻を刺し殺した男が仮出所で床屋を開業する。うなぎは刑務所から連れてきた唯一の話し友達であり現実からの避難所でもある。そこへ自殺未遂で助けた女が働きにくる。女はやがて男に惹かれ、気持ちに答えてもらいたくて弁当を作り続ける

 今村昌平らしからぬほのぼのとした映画だ。

カチンコ
 名画座「並木座」の引用が見られる。この数年前か惜しまれつつ閉館した名画座だ。確か邦画専門館小津や溝口などの映画が日常的に掛かるので有名だった。本当に小さな映画館で僕も一度だけ行った事があるくらいだったが、今となってはもっと通っておけばよかった。名前の由来は並木通りにある映画館だから。

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2006年05月18日

「シャイン」(1997年7月27日(日))

 台風9号が日本海に抜けて雨は昨夜で止んだ。朝は曇り、昼間は雲の多い晴天となった。

 渋谷に出てシネセゾン渋谷で「シャイン」(no.14)の10:20の回を観る。

 デヴィッド・ヘルフゴッドという実在のピアニストの半生を描いたオーストラリア映画。

 厳格な父に育てられて繊細な心をすり減らしながら成長してゆくデヴィッド。将来を嘱望されるも精神が病み精神病院に入ることになる。彼が退院して町のレストランでピアノを引き続け、やがて結婚、リサイタルで復活をとげるまでを描く。

 決して重苦しくならず抑制の効いた映像が、ラストに来る希望を絶えず予感させながら進行していくのが有り難い。

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2006年05月16日

「失楽園」「20世紀ノスタルジア」(1997年7月28日(月))

 有楽町に出てシャンゼリゼで「失楽園」(no.16)を観る。

 平日なので混雑はしてないがその割には入っている。

 50歳で閑職に追いやられた出版社勤めのサラリーマンを演じる役所広司はくすんだつや消しのメークをしている(させられている)。

 全体にモノクロを効果的に使っている。冒頭の滝(性の象徴)のシーンもセピアがかったモノクロ。旅先で二人が抱き合うシーンもモノクロのカットをインサートして観る側の高ぶりをうまく抑制している。

 二人のセックスシーンも総じて淡々と描かれていていやらしさは感じない。それよりも二人の普段の会話とか表情の方がよっぽどセクシャルに感じさせられる。その意味で森田芳光の演出が効いている。

 それにしても森田監督には前作「ハル」のように御仕着せでない映画を撮ってもらいたいものだ。

 出版社勤務だというので神保町の喫茶「さぼうる」とか須田町の蕎麦屋「まつや」とか神田の馴染みの風景が映り思わず微笑んだ。

 昼食後、新宿に移動。テアトル新宿で「20世紀ノスタルジア」(no.15)を観る。

 広末涼子主演のせいで男の学生が多い。

 確かに広末涼子を見たい人にはとってもお得な映画だ。冒頭の清洲橋のシーンはまだ彼女が無名の頃に撮ったものだそうで素人のあどけなさが残っている。

 監督の原将人は自主映画を撮ってきた人らしく、よくも悪くも映像に雰囲気が出ている。よかったかと言われると?なんだけど、面白かったことは面白かった。コクはないけどね。

 ビデオで街を撮るのはよくあるけれどビデオでお互いを取り合うというのはなかった。男の子の視点からと女の子の視点からとカメラの視点から映像が3重化しているのは新しい試みだ。

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2006年05月15日

「スターウォーズ・ジェダイの復讐」「浮き雲」(1997年7月29日(火))

 日比谷に出る。10:00前だが既に宝塚の通りは女の子があちらこちらで女優の入りを待ちかまえている。スカラ座で「スターウォーズ・ジェダイの復讐」(no.18)を見る。

 特別篇三部作の最終話だ。

 惑星に降り立ったハン・ソロたちがイオークと合流して防御シールドを破壊するパートがよく出来ている。おそらくシリーズ中最も演出が効いているシーンだ。

 それ以外は相変わらず退屈だ。ルークとベイダーの対決シーンもそうだし、なにより帝国軍の最終兵器デス・スターを攻撃する反乱軍のSFXパートがつまらない。

 SFXを描きたいがために全体的にストーリーの進行がもたつくのだ。

 昼食は和光裏のおでん屋「一平」でおでん定食700円。安くて美味しい。

JRで渋谷に移動してユーロスペースで「浮き雲」(no.17)を見る。

 この連休に最も見たかった映画だ。

 男は市電の運転手、女はレストランの給仕長。慎ましく生活している二人だが労りあって暮らしている。やがて二人とも失業し、男は片耳が悪く免許取り消しになって自信を失い、女は場末の名前もないスナックでコック兼給仕としてこき使われる。

 こう書くと不幸な物語だが、映画は次々に訪れる不幸を淡々と描き登場人物も淡々と不幸を受け入れていく。何故か哀しさより滑稽さと暖かさが伝わってくる。

 そして最後に信じられない幸運が訪れ、女と男はレストランのオーナーとして再出発する。それさえも淡々と受け入れてしまう二人がラストに見上げる空には、きっと移り気な浮き雲が浮かんでいる筈だ

 アキ・カウリスマキ監督会心の作品と言っていい。

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2006年05月12日

「百貨店大百科」(1997年8月3日(日))

 午前中は薄曇りで、昼から晴。湿気が多く蒸し暑い。故障した電話機を買い替えるため秋葉原に出てカタログを集めた。この暑いのに相変らずの人出だ。有楽町に移動して簡単に昼食をすます。

 日曜は親子連れが多いので「ジャングル大帝」や「ウォレスとグルミット、危機一髪」は避け、シャンテ・シネ2で「百貨店大百科」(no.19)を観る。

 フランスのセドリック・クラピッシュ監督の長編デビュー作だそうだ。

 経営不振のデパート「グランド・ギャラリー」を一年間で立て直す物語だ。しかし店員は一癖ある連中ばかりで自分の好みを押し付け気に喰わない客には決して売らない。

 楽器売り場では、手にしているギターを「これは気にいってるから売らない、あっちを買え」と客に言う店員がいる。

 大工道具の売り場では、かなづちを買おうとする客に店員が聞く。

 店員「何に使う?」
  客「釘を打つ」
 店員「釘にもいろいろある」
  客「いろいろな釘だ」
 店員「じゃ全部買え」。
  客「……」

 非常に乾いた笑いだが人間を見る目は暖かい。しかも清掃係、警備員、人事担当、教育担当、はてはアルバイトに至るまで、百貨店にかかわるあらゆる人々を描いた人間群像劇になっている。

 ロメール作品でお馴染みのファブリス・ルキーニが社長役で好演している。

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2006年05月08日

「燃えよドラゴン」「ティコ・ムーン」(1997年8月9日(土))

 長い夏休みの初日。シネセゾン渋谷で「燃えよドラゴン」(no.21)のリバイバル上映を観る。

 二十数年ぶりに大画面でブルース・リーを見られる幸せにしばし酔いしれた。

 友達と一緒に水道工事屋の裏から塩ビ管を盗んでヌンチャクを作ったことや、日曜の朝一番に今はない丸の内東宝(現日比谷シャンテ)で「ドラゴンへの道」を喰いいるように見たことが思い出される。

 あの頃の僕と友達にとって彼は既に伝説のヒーローだったし、これからも永遠にヒーローであり続けるに違いない。

 昼食後、パルコパート3の8FにあるSPACE PART3で「ティコ・ムーン」(no.20)を観る。

 監督はエンキ・ビラル。フランスのコミックス作家だそうだ。

 あの「ブレード・ランナー」にも影響を与えたという映像は『月のどこか、パリによく似た都市で』という近未来の風景で始まる。『静かの海ホテル』の屋上からみる景色は尖の折れたエッフェル塔や凱旋門、モスクなど地球で廃墟となった遺跡が不気味にコラージュされている。ホテルの周辺は得体の知れないアラブ系の人々が取り巻く。

 同じ近未来でもエヴァンゲリオンとこうもイメージが違うものか。人の創りし廃墟が混在する無国籍な月面都市に対して、科学を盲信するかのように滅びた都市が何度も何度も相似形で再生する「エヴァ」

 このイメージの差はフランスと日本の国民性の違いだろうか。

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2006年05月05日

「バウンド」(1997年8月10日(日))

 快晴。暑いが蒸し暑くはない。日比谷のシャンテ・シネで「バウンド」(no.22)を観る。

 刑務所から出たてのボーイッシュな女とマフィアの情婦とが愛しあうようになり、二人で駆け落ちするためにマフィアの裏金を奪おうとする話。

 男同士の友情や男女の愛情ではなくレズビアンの二人が主人公というのがミソ。途中から二人の思い通りに事が運ばずどんどん追い詰められていく。

 全編息を凝らして観る事を観客に強いる映画だ。

カチンコ
 「マトリックス」で3年後にブレイクする事になるウォシャウスキー兄弟の初監督作品だ。この作品でも「マトリックス」で見せた黒を基調とした衣裳スタイリッシュでモダンな映像とのコントラストが独特だった。ストーリーも単純なサスペンスではなく、レズビアンという微妙な人間関係を持ち込む事で非常に複雑なものとなっていた。

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2006年05月04日

「17/セブンティーン」「ラリー・フリント」(1997年8月11日(月))

 蒸し暑い。渋谷に出て渋谷ジョイシネマで「17/セブンティーン」(no.24)を観る。

 ハリウッドの若手スター、ブラッド・レンフロ主演作だ。

 どうみてもハンガリー移民の息子とは見えないレンフロだがナイーブさを全面に出した演出が救っている。流れDJのケビン・ベーコンはいい演技だ。

 カメラもハリウッドスタイルとひと味ちがった暗さを出していてよかった。

 ジョイシネマは席数232、こじんまりした映画館だが新しくて綺麗だ。ややスクリーンが高い位置にあるのが難。

 昼食後、スペイン坂上にあるシネマライズで「ラリー・フリント」(no.23)を観る。

 ポルノ雑誌「ハスラー」を創刊したラリー・フリントの破天荒の半生を描いた映画。実に最低の人物だが生き方は図抜けていて面白い

 最低な映画監督の映画「エド・ウッド」を書いた脚本家スコット・アレクサンダーの脚本に、ミロシュ・フォアマン監督の演出、そしてウッディ・ハレンソンなど俳優の演技。三拍子そろってこその面白さだろう。予想を超えた出来だった。

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2006年05月02日

「ジャングル大帝」(1997年8月13日(水))

 日比谷に出て丸の内松竹(マリオン新館内)で「ジャングル大帝」(no.25)を観る。

 はっきり言って出来はよくない。おそらく原作を忠実であろうとしたが為にうわっつらをなでただけに終っている。

 ルネの冒険もライアの死も唐突過ぎるし、命を失うと分かってまでレオが人間の為にムーン山に向うのかが納得出来ない。ただ原作の大きさだけは伝わってくる

 不幸な映画だと思う。映画「風の谷のナウシカ」が宮崎駿の原作を越えられていないのと同様に、この作品も原作を越えてはいないだろう。でも宮崎駿は生きて「もののけ姫」を造り出せるが、手塚治虫の作品はもう二度と観る事ができないという事実だけが重く僕らにのしかかるのだ。

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2006年05月01日

「スピード2」「心の指紋」(1997年8月16日(土))

 曇天。台風の影響で夏らしくない涼しい一日。「スピード2」(no.27)の初日。

 日比谷のスカラ座で11:15の回を観る。立ち見が出た。

 二年前の2/26にガラ開きの映画館で「スピード」を観ている。その圧倒的な映像感覚にしびれた。「スピード」はこの年の夏の終りまでロードショーが続いた。金をかけただけでストーリーがしまらない「ダイハード3」なんてクソくらえだった。今年は「スピード2」にそう言いたい。

 原子力発電所じゃあるまいし手動で止められないコンピュータ制御の豪華客船なんて設定は馬鹿々々しい。犯人役のウィリアム・デフォーも前作のデニス・ホッパーの狂気の足元にも及んでない。

カチンコ
 前作の主役キアヌ・リーブス不在で、仕方なくサンドラ・ブロックをヒロインにしたてあげてはいるが、そもそもタイトルの「スピード」を体現する男らしいヒーローが必要だ。しかしキアヌの代役に抜擢されたジェイソン・パトリックが如何せん動きに切れ味がなく、あか抜けない

 シネスイッチ銀座で「心の指紋」(no.26)を観る。

 マイケル・チミノ監督作品。

 前科6犯の殺人犯でインディアンとの混血児の少年ブルーは末期ガンの治療を受けている。彼はエリート医師レイノルズを人質に逃亡し、すべての病を癒してくれる聖なる山へ向う。

 レイノルズは反発しながらもやがてブルーの心の傷にふれ自ら進んで旅の供となる。彼もまた幼い日に不治の病に苦しむ兄の生命維持装置を請われて止めた心の傷に苛まれていたのだ。

 レイノルズ役にまたまたウッディ・ハレンソン。今年は彼の当り年らしい。モーリス・ジャールの音楽がどうも耳ざわりなのを除けば、いい出来だ。

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2006年04月30日

「男と女・嘘つきな関係」(1997年8月30日(土))

 あのクロード・ルルーシュ監督の新作「男と女・嘘つきな関係」(no.28)をシネスイッチ銀座で観る。

 今日が初日ということで入口でおまけの小袋を渡された。何故かリキュール(グラン・マニエ)の小瓶が入っている。タイアップ商品らしい。

 題名のとおり何組かの男と女の間に嘘つきな関係が進行する

 元弁護士の実業家は情事の翌朝、恋人と二人きりの朝食を過ごすため二人以外の席すべてを偽りの予約で埋めてしまう。

 その実業家はかつてもてあそんで別れた女医のもとに胃の検査に訪れ、彼女は偽りの診断結果を宣告して男を絶望させる。

 スキー旅行の帰りの列車で出会う少年と少女は、相手に気に入られようとお互いに年をごまかす。少女は3つ年を上に、少年は4つ下にごまかすのがおかしい。

 その他様々なエピソードが織りなすように描かれ、その手際のよさはさすがだ。そしてそれぞれのエピソードにはそれぞれの奇跡が訪れ、物語は終る。これは大人のためのファンタジーだ。

 そうそう、相変わらずフランシス・レイの音楽は美しい

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posted by アスラン at 00:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 大いなる遡行(1997年進行中) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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