2005年06月29日

「大いなる遡行」は、このたび引っ越します。

 数少ない「大いなる遡行」ファンのみなさん、日頃からのご愛顧どうもありがとうございます。
たまたま立ち寄って興味をもってくださった方々、どうも初めまして。

 2ヶ月かけて遡ってきた映画クロニクル(1999年版)ですが、めでたく遡り完了しました。

パチパチパチ!!(手前みその拍手ですが、ご容赦を)

 引き続き1998年を遡っていこうと思いますが、実はお引っ越しをします
当初、訳も分からず始めたブログで初心者の浅はかさから、読書ブログと映画ブログの2本立てで発信を続けてきました。

 これはこれで、それぞれのジャンルに固有のファンの方々の楽しみを満たせるとは思うのですが、情報発信する側としては2倍の労力と精神的疲労を伴うとわかりました。
(もっとはやく気づけよという声が聞こえてきそうですが…。)

そこでこれを機に、読書ブログと映画ブログを統合します
今後は、
 
 アスランの読書クロニクル

の方で、読書と映画の情報発信を続けていきます。
(タイトルは合わなくなるので、いずれ少し変更します。)

すでに「大いなる遡行(1999年版)」もリンクを張りましたので、そちらの方から見られます。
いずれは、記事自体の引越もすませたいと考えています。

お手数をかけて申し訳ありませんが、今後も「大いなる遡行」をよろしくお願いします。
posted by アスラン at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 大いなる遡行(1999年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

僕が選んだ1999年ベストテン+お気に入り10本

 ベスト20じゃないのか?と言われる前に、ベストとお気に入りの違いの説明をしておこう。

 誰が考えても見事な映画だと思える10本をベストテンとした。もし異論があるとしても説得するだけの自信が僕にはある。それでも異論があるとしても耳を貸さない頑なさが僕にはある。

 お気に入りの10本はベストテンを選ぶときの気負いはない。もし異論があるとしても甘んじて受け入れる寛容さが僕にはある。でもお気に入りなんだもん、しょうがないでしょと駄々をこねる甘えが僕にはある。

1.永遠と一日(テオ・アンゲロプロス)

 もちろんアンゲロプロスのマイベストは「こうのとりたちずさんで」だが、こういうノスタルジックなのもいいのではないか?ブルーノ・ガンツがいい味出してるし。

2.シックス・センス(M・ナイト・シャマラン)

 ホント第一作がメガヒットという作家は足かせになってしまってかわいそうだ。

3.逮捕しちゃうぞtheMOVIE(西村純二)

 テレビアニメは続編作らないだろうか?下手な刑事物よりよっぽど人物が立っている。

4.八月のクリスマス(ホ・ジノ)

 ホ・ジノ監督は佳作なの?「春の日は過ぎゆく」以降、音沙汰がないのだけれど。いまやカーウァイ同様、無条件で次作が見たい監督。

5.レッド・バイオリン(フランソワ・ジラール)

 なんでこの作品、見てる人が少ないのかなぁ。ストーリーの見応えで評価したらダントツでNo.1の作品なんだけど。

6.恋に落ちたシェークスピア(ジョン・マッデン)

 アカデミー賞とっちゃったら別に言う事なし。みんな見てるし、みんな知ってるし。つまらん。

7.たどんとちくわ(市川準)

 さて説得できる自信ありなんておおぼらふいたけど、何故「大阪物語」でなく、こっちなんだと言われるだろうなぁ。それこそ僕の好きずきだろ。でも正直それまでの市川準作品ってなんかつまらなかった。独自の手法と言いつつ何かに似てる、物まね。「東京兄妹」なんて小津に似せた駄作だったし。でもこの作品はなんかもう緻密とかそんな計算じゃなくて書き殴ったって感じ。勢いがあって見てて胸がすく。

8.イフ・オンリー(マリア・リポル)

 タイムスリップものとしては秀逸のアイディアと演出。それとユーモア。ユーモアがないと「スライディング・ドア」みたいにアイディアだけの駄作になってしまう。

9.ラン・ローラ・ラン(トム・ティクヴァ)

 ミニシアター系としてのすべてを満たしてる。なんでもありの精神。アニメも取り入れちゃう。しかもアイディアに飛んで、いろいろなシーケンスを組み込んで見る者をただただ楽しませてくれる。

10.ワン・ナイト・スタンド(マイク・フィギス)


 今やアクション映画の雄であるウェズリー・スナイプスを評価する向きには、この映画は何?って事になるかもしれないが、「追跡者」同様、ストイックなのにどこか愛嬌のある彼本来の人間味が出てる。

さてお気に入りの10本。

マーサ・ミーツ・ボーイズ(ニック・ハム)

モニカ・ポッターが可愛い。とにかくキュート。それとジョセフ・ファインズの3枚目ぶりは「恋に落ちたシェークスピア」の比ではない。僕が審査員ならこっちを推すね。

マトリックス(ウォシャウスキー兄弟)

 これもいまさら言う事ない。あっ、一言だけ。「マトリックス」はパート1で終わっているね。

バッファロー'66(ヴィンセント・ギャロ)

ヴィンセント・ギャロ自身変なキャラだったが、相手役のクリスティーナ・リッチが輪をかけて変なキャラ全開だった。ポチャポチャになってたし。この前の「アイス・ストーム」から太めだったから、「ブリジット・ジョーンズ」みたいに役のために体重を増やしたという訳でもなさそうなんだけど。
 
クンドゥン(マーティン・スコセッシ)

これもいい映画だったのだけど、どうして知られてないのかなぁ。

マイ・ネーム・イズ・ジョ(ケン・ローチ)

ジョー役の人がそう歳を取ってないのに老けてみえる。アルコール依存症のなせる残酷さみたいな感じがよく出ていた。

オープン・ユア・アイズ(アレハンドロ・アメナーバル)

「アザーズ」のひたひたと忍び寄る恐怖+悪夢が繰り返す怖さ。もうただただ唖然とした。ホントは怖いもの好きならベスト10の上位に入れてもいいくらいだ。

交渉人(F・ゲイリー・グレイ)

今となってはちょっとラストの真犯人捜しはあっさりしすぎているような気もするが、やはり交渉人という職務が名優・サミュエル・ジャクソンとケビン・スペイシーの二人の緊張感溢れるやりとりで描かれていて面白かった。

大阪物語(市川準)

 市川準が池脇千鶴を大事に大事に育ててきて、花開いた作品。かつてのアイドル歌手・沢田研二がおじさんになってるのを実感できる作品でもある。もちろんダメダメなおじさんらしさをさらっと演じてしまえるのが彼の凄さである。

シン・レッド・ライン(テレンス・マリック)

テレンス・マリックは、ある意味美しい映像に見せられた監督と言える。詩情は豊かだが、それ以上の人間ドラマには手際を発揮できていない。ならば「天国の日々」同様ネストール・アルメンドロスが撮影監督を務めていたなら、もっと映像は美しさを極めていたのではないか?

I want you(マイケル・ウィンターボトム)


「ハムナプトラ」でブレイクする前のレイチェル・ワイズが美しく怪しい魅力をもつヒロインを演じていた。そういえば「スカートの翼ひろげて」もそうだ。レイチェル・ワイズのまさに旬の一年だった。
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2005年06月27日

1999年1月3日(日)「あ、春」「たどんとちくわ」

 1999年最初を飾る一本は、相米慎二の久々の新作「あ、春」(no.2)。テアトル新宿で観る。

 題名からしてほのぼのとしているが、見終わった印象がまさに「あ、春が来てたんだ」という感慨につきる。

 広い庭のある日本家屋に住まう平凡な一家の風景に、浮浪者風の山崎努が訪れる。それは妻の実家に居候する佐藤浩市の死んだ筈の父親だった。父親の出現が、それまで平凡で単調だった家族の生活に波風をたて、妻である斉藤由貴の精神も不安定にさせる。

 やがて彼は春一番のように家族をかき回して逝ってしまうのだが、そこにほんのちょっとの奇跡がやってくる。それがまさしく「あ、春だ」と言える暖かさで、最後の最後にじわーと心が緩んでくる。

 佐藤浩市がちょっと仕事と家庭に疲れた働き盛りのサラリーマンを見事に演じている。CMで演じるさえないサラリーマンそのままだ。それと佐藤の母親である富司純子が素晴らしい。老いてもなお色気があるとともに、ドライブインを切り盛りするたくましさを兼ね備えた豪胆な女性をさらりと演じている。

 「あ、春」もなかなかとぼけた題名だが、シネマスクエアとうきゅうの「たどんとちくわ」(no.1)はその上をいく。

 椎名誠の2つの短編が原作だ。椎名誠と言えば昨年観た「中国の鳥人」も彼の作品が原作だ。SFとかファンタジーも書くし、今回のように不条理な作品もお得意のようだ。

 タクシーの運転手との会話が面倒臭いので、つい「たどん屋が商売」といいかげんな事を言ったがために運転手がキレて暴走を始めるという「たどん」。

 無名の作家が周囲の日常に違和感を感じ出して、おでんの屋台にちくわに見立てて置き忘れてきた自分のイチモツを取り戻そうとして居酒屋の客や主人をめちゃくちゃにしてしまう「ちくわ」。

 そして最後に双方の登場人物が交錯するシーンが楽しい。非常に荒唐無稽でおかしいが、珍しく市川準がCMディレクターらしい手法を映画に用いて現代人の日常をリアルに切り取り、それをうまく非日常へと繋げている。

 最近の市川準はちょっといいなぁ。
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2005年06月26日

1999年1月15日(金) 「I want you」「のど自慢」

 風邪気味なのと今年の手帳作りがなかなか終らないのとで、なかなか今年の映画館通いは出足が遅い。

 シネスイッチ銀座で「I want you」(no.4)を観る。

 新進気鋭のマイケル・ウィンターボトム監督の新作だ。

 「バタフライ・キス」も人殺しを何とも思わない少女と、彼女の中の悪魔を畏れることなく慕い続ける天使のような少女とのシニカルな友情を描いた一種の寓話だったが、今回も辛口でモラルをふっとばすようなそれでいて大人のための童話のような作品になっている。それはこの作家らしくとびきり残酷な童話だ

 まだヘレンが少女だった頃に愛し合ったマーティンは、ヘレンの父を殺して服役し、9年ぶりに仮出所する。再びヘレンの前に現れたマーティンをヘレンは受け入れる事ができない。というより男そのものを受け入れる事ができない。

 そんな二人の関係の中に、母親を失って以来言葉を話さなくなった少年ホンダが入り込む。ホンダはヘレンを慕い、マーティンに敵意を感じる。ホンダはひそかにヘレンとマーティンの会話を盗聴し、やがて9年前の事実を知る。そしてヘレンがマーティンを殺し、ホンダが手伝って死体を海に沈めた時、ホンダは魔法が解けたかのような強烈なショックを受ける。

 ヘレンが町を去るシーンにかぶさるホンダのナレーションが残酷で、ショッキングな展開の中で不思議な感動を生む。映像もとびきりきれいだ。心にぐさっとくさびを打たれるような映画だ。今年はウィンターボトムに注目。

 みゆき座で「のど自慢」(no.3)を観る。

 随分まえからやっていた予告が面白い。
 前評判がいやに高い。
 室井滋の赤城麗子の「雷波少年」のキャンペーンが面白い。
 NHKののど自慢をそっくり再現するというアイディアがいい。

 かなり期待してしまって観たわりにはまあまあの出来だ。登場人物も個性派ぞろい、設定もいい。いかんせん監督に笑いのセンスがない。笑いたいのにどこかうわっつらをすべっていく感じで、笑いの間がとれない。

 それに脚本に今一つ深みがないので、複数のエピソードをそれぞれ手際良く描いてはいても盛り上がりに欠けるのが残念だ。
posted by アスラン at 00:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 大いなる遡行(1999年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月24日

1999年2月7日(日) 「6デイズ7ナイツ」「ワン・ナイト・スタンド」「ニンゲン合格」

 今年のひどい風邪にやられたがようやく体調が戻って来た。正月映画をほとんど見損なっているので、なんとか挽回をしよう。

 まず丸の内ルーブルの「6デイズ7ナイツ」(no.7)から。

 アン・ヘッシュはニューヨークで雑誌の副編集長をしていて、恋人に誘われ6泊7日のバカンスを南国の島で過ごす。そこへタヒチでの仕事が舞い込み恋人を置いて出かけるが、ハリソン・フォードの操縦するチャーター機が墜落して二人は無人島に着陸する。脱出は不可能、おまけに密輸入をする海賊に見つかり追われるはめになる。

 異常な状況でいがみあっていた男女が次第にひかれあっていくストーリーはハリウッドでは目新しくもない。何か工夫があるはずだと思って観たが最後まで何もない。

 海賊もおバカな奴等で自分で打った砲弾で簡単に自滅してしまう。ラブストーリもいがみあいがあってこそ盛り上がるというのに、早々にアン・ヘッシュはハリソン・フォードになびいてしまう。ハリソン・フォードもどうみても最初はすけべでにやけたオヤジにしか見えない。途中から俄然インディージョーンズ化してくるけれども。

 島の描き方も特に美しくもなく神秘的でもない。

 シャンテ・シネで「ワン・ナイト・スタンド」(no.6)を観る。

 いかにもニューヨークらしいラブストーリー。とにかくお洒落だ。

 冒頭のタイトルや出演者の文字のデザインから、モダンダンスをコラージュした映像、それにかぶさるジャズ音楽。すべてニューヨークらしさが息づいている。

 ナスターシャ・キンスキーとウェズリー・スナイプスのホテルでの自然な出会い。互いに意識しながらひょんなことから会話をかわす。出会いのきっかけに万年筆が重要な小道具として使われている。その演出のなまめかしさ。思わずうまいとうなってしまう。

 偶然が味方して二人は一夜かぎりの恋に落ちる。一年後、エイズの末期患者となった友人を見舞った際に、彼の兄の妻であるキンスキーと再会してふたたび求め合うようになる。

 エイズで死にゆく友人との別れと思いがけない情事の相手との再会。死と生のはざまでスナイプスの心は大きく揺すぶられ、人生も変わっていく。

 白人と黒人のカップル、ゲイ、エイズなどを織り混ぜた辛口のラブストーリーだが、ラストは意外とすっきりとして微笑ましい。

 東劇で「ニンゲン合格」(no.5)を観る。

 このところ立て続けに新作を送り出している黒沢清の新作。'97年の「CURE」の出来栄えの良さは記憶に新しい。

 今回は10年ぶりに昏睡状態から覚醒した24才の青年が、眠っていた間にバラバラになった家族を再生するために牧場を始める。ほんの一瞬ではあるがバラバラだった家族たちが集まり一家だんらんの時を過ごし、再びそれぞれの今の人生に戻って行く。

 そして青年は自分の残した痕跡を噛みしめるかのように死んでいく。

「俺、存在した?ちゃんと存在した?」


 最後に問いかける彼の心の叫びが切ない。不思議な味わいで、今までのどれとも似ていない映画。
 強いて言えば北野武や台湾のツァイ・ミンリャンのような静謐な映画のテイストが感じられる。
posted by アスラン at 19:28| Comment(1) | TrackBack(1) | 大いなる遡行(1999年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月23日

1999年2月13日(土) 「ユー・ガット・メール」「ニノの空」「ジョー・ブラックをよろしく」

 新宿ミラノ座で「ユー・ガット・メール」(no.10)を観る。

 Eメールが取り持つ純愛を描いたラブコメディだが、思いのほかオーソドックスなストーリで食い足りない。というかEメールそのものが、機能は最先端技術でありながら形態は一時代前に逆戻りしたかのような古臭さを感じさせるから、オーソドックスな演出にならざるをえないのかもしれない。

 それにしても一見現実的なテーマでありながら嘘くさいのは、家が近所でおまけに商売がたきで、しかも片方は大手ブックストアの御曹司、片方は昔からある街角の本屋さんの娘という設定だろう。なんとも古きよきハリウッド的な設定そのままでちょっとやりすぎ。

 アメリカの今時のブックストアが、コーヒーを飲みながら何時間でも本を読めるというスタイルが一般的になっているという事情がわかって面白かったけれど。

 それと実は僕はメグ・ライアンをあまり好きではないらしい。「フレンチ・キッス」の時はちょっとよかったのにね。彼女の演技にはちょっと感情移入しにくい。下手とは言わないが...。

 引き続いてシネマスクエアとうきゅうで「ニノの空」(no.9)を観る。

 フランス映画だが、きどった雰囲気のない不思議な暖かさをもつ映画だ。監督のマニュエル・ポワリエはペルーからの移民の子孫だそうで、移民としてのフランスに対する愛着と批評に満ちている映画だ。

 主人公のニノはイタリア生まれのロシア人であてのない旅をして暮している。靴のセールスマンのスペイン人パコの車をヒッチハイクして車ごとだましとった事がきっかけで二人は和解し親しくなって旅にでる。

 二人ともフランスでのマイノリティで生活は楽ではない。落ち着けるところと心を癒せる女性を求めてあてどない旅を続け、様々な人々と触れ合いながら傷つきなぐさめ、そしてまた旅にでる。

 もてないニノのために二人でアンケートと称して理想の女性を探し出す話は馬鹿々々しくもあり、そしてたまらなくせつない。最後に出会う港町の女性は、ニノに会って自分が本当に孤独だと分かったと告白する。

 このクライマックスの心の交流はまるでファンタジーのようだが、孤独な者どうしが綴ってきた物語だけに真実を描いているように感じられる。

 食事をはさんで新宿ジョイシネマ1で「ジョー・ブラックをよろしく」(no.8)を観る。

 クレア・フォラーニが瑞々しくてとてもきれいだ。ブラッド・ピットも久々に好青年そのままで登場。だから冒頭のコーヒーショップの出会いはなかなか楽しい。

 一転して、死神が青年の体を借りてアンソニー・ホプキンスの前にジョー・ブラックとして現れる。ジョーとしてのブラピは3枚目としては及第点はあげられないが、いつものオーバーアクションがないのでいい。

 ピーナツバターをなめて喜んだり、重役会議でクッキーを頬張ったりするエピソードはとぼけた味わいを出していて楽しい。ただやはり全体的に古めかしいのと、会社乗っ取りを画策するクレアのフィアンセの設定などが陳腐だ。

 パンフレットの解説によると'34年の「明日なき抱擁」のリメイクだそうだ。さらに付け加えると「ユー・ガット・メール」も'40年の「桃色の店」の脚色だと知ってビックリ。

 何故か2本とも雰囲気が似ていると感じた。

 内容は全く違うのにトム・ハンクスとアンソニー・ホプキンスの口から、愛についてのまったく同じ格言がこぼれる。
 どちらもエンディングに「虹の彼方に」が使われている。

 これはどうも偶然ではなく、ハリウッドが深刻なネタ不足に陥っているかららしい。なにはともあれ上映時間3時間が2時間になればすっきりして面白かった。ちょっと勿体をつけすぎた。
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1999年2月21日(日) 「ウェディング・シンガー」「レ・ミゼラブル」「りんご」

 みゆき座で「ウェディング・シンガー」(no.13)を観る。

 「世界中でアイ・ラブ・ユー」で愛嬌のある笑顔が印象的だったドリュー・バルモアが主役のラブコメディだ。

 「E.T.」で主人公の妹だった時の面影そのままに、決して美人ではないが愛らしい女性に成長した。とても麻薬とアルコールの日々を過ごした事があるとは信じられない。

 話はウェディングシンガーのアダム・サンドラーと知り合って愛し合い、互いの恋人と別れをつげて結婚するまでを描いている。なんてことない話だが85年という時代設定で、80年代の風俗が会話の端々に描き込まれるところが一工夫というところだ。

 バンド仲間がボーイ・ジョージそっくりのコスチュームで「君は完璧さ」を歌ったり、二人の友人がそれぞれマドンナやマイケル・ジャクソンを気取ったりする。そうかと思えばルービックキューブを何気なくやらせたり最近のジョン・トラボルタはパッとしないと言わせたりでサービス満点だ。

 日劇東宝で「レ・ミゼラブル」(no.12)を観る。

 あのビクトル・ユーゴーの長編小説をたった2時間13分の映画にしてしまうところが凄い。

 ビレ・アウグスト監督は「ペレ」で見せた重厚な演出と美しい映像をそつなく再現してみせた。そつなくと敢えて言うのは、「レ・ミゼラブル」を読んでなければやはりこの映画の展開を理解するのは難しいと思うからだ。

 銀食器を盗んだのに神父から許され改心するところがこの物語の発端であり、最後まで作品を貫くエピソードであるはずなのに、映画ではドラマティックな場面を作りそびれている。エンディングのジャベール警部とジャン・バルジャンとの精神の交流と、その後の警部の自殺という展開も分かりにくくなっている。

 シャンテ・シネ2で「りんご」(no.11)を観る。

 イランの18才の女性の初監督作品というのがまず驚かされる。ただし父親が映画監督で助監督をしていたというから、環境がなせる技とも言える。

 しかし内容でまたまた驚かされる。双子の12才の少女が父親に監禁されて生まれてから一度も家を出た事がないという実際の事件を取材して、本人たちをそのまま映画に登場させている。

 事件の内容を聞くと現代の残酷物語だが、映画では楽天的な語り口で描かれている。双子の少女は満足に口も聞けないし字も書けない。それでいて父親を愛していて世間の好奇の目にさらされても意に介さない。最後にはソーシャルワーカーにおもてで遊ぶように言われて、子供たちと遊ぶようになる。

 フィクションでありながら現実を映し出す演出は見事だ。
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2005年06月22日

1999年2月27日(土)「スネーク・アイズ」「ボクらはいつも恋してる!金枝玉葉2」「BAR(バール)に灯ともる頃」

 新宿ジョイシネマで「スネーク・アイズ」(no.16)を観る。

 ブライアン・デ・パルマの独特な演出で冒頭から目が離せない。

 目まぐるしく動き回るニコラス・ケイジを狂言回しに仕立てて、ショーと化したタイトルマッチの舞台裏を覗き込むようにカメラが入り込んでいく。評判のステディ・カムによる13分間ノーカット撮影は、アッと言う間に終ってしまうから、逆に専門家に解説されなければ見過ごしてしまうほどだ。

 つまりそんな能書きは観客にとってはどうでもいいことだろう。要はノーカットによる効果が、もっぱら緊張感の持続にあって、13分の直後に起る殺人というクライマックスに観客を誘う一手法に過ぎない。

 会場に配置されたカメラが次第に関係者の証言の嘘を暴き立てていく演出の手際もさすがだ。ニコラス・ケイジの鼻につく演技も今回に限っては役にはまっている。

 ただ犯人あてと思われていた筋立てが、実はすぐにネタばらししてしまうのは期待外れだった。前半はミステリー、後半はサスペンスという展開はデ・パルマが敬愛するヒッチコック作品によくあるのだが、ヒッチコックのようなサスペンスの手際は今一つで、中盤からラストまでがちょっと退屈だった。

カチンコ
 本当はさらに隠された謎があって、最後の最後のワンカットが実は映画の中で明確に描かれていない重要な真実にかかわるという話だ。思わせぶりなカットだったから、もう一度見終わってから筋を反芻してみたがよく分からなかった。パンフレットには真犯人を示唆する推理が書かれていた。でもだからどうしたという感じだ。


 シネマミラノで「ボクらはいつも恋してる!金枝玉葉2」(no.15)を観る。

 あの「君さえいれば/金枝玉葉」の続編。

監督はピーター・チャン。主演もアニタ・ユンとレスリー・チャンと、すべて前作を引き継いでいる。

 今でも前作の衝撃は覚えている。

 ゴキブリの視点で始まるコミカルなイントロ。
 男と偽って生活に入り込んできたアニタ・ユンを好きになってしまい、自分がゲイなのではと悩むレスリーという設定のおかしさ。
 エレベーターの箱とスクリーンの余白を効果的に使ったラストシーン。

 すべてが楽しく、全編香港映画のパワーに満ちあふれていた。今回は衝撃はない代わりに安心して見られるシリーズものという感じだ。チャン・シウチョンもカリーナ・ラウもエリック・ツァンも同じ役で出てきて、期待どおりの演技をしてくれる。

 ただコメディ色が強まった分、もうアニタとレスリーの恋にときめかないのは残念だ。

 シネマスクエアとうきゅうで「BAR(バール)に灯ともる頃」(no.14)を観る。

 久々にエットーレ・スコラ監督の作品を観る喜びを味わえる。

 「ル・バル」「マカロニ」「ラ・ファミリア」「あんなに愛しあったのに」、どれもが切なくて温かいイタリアならではのコメディ映画だった。

 今回は主演がマルチェロ・マストロヤンニと「イル・ポスティーノ」のマッシモ・トロイージ。89年の作品ということだから、奇しくも主役の二人ともが他界した事と「イル・ポスティーノ」のスマッシュヒットがなければ永遠に配給されなかったかもしれない。

 兵役中で離れて暮している一人息子トロイージに、父マストロヤンニが会いにくる。しかしなかなか打ち解けない。父と息子とはこうも心が通いあえず反発してしまうものなのか。

 非常に地味で渋いストーリーだが、次第に息子の生活や考え方が見えてきて勝手に失望してローマに帰ろうとする父に、息子は一度は突き放しながら最後には温かく見送るまでを淡々と描いている。
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2005年06月21日

1999年3月6日(土) 「鳩の翼」「ムービー・デイズ」「ガメラ3・邪神<イリス>覚醒」

 渋谷のル・シネマで「鳩の翼」(no.19)を観る。

 19世紀後半の作家ヘンリー・ジェイムスの同名の小説の映画化。

 全く読んだ事がないがウィリアム・ワイラーの「女相続人」の原作者と知って納得した。あの話も人間の心の奥底にひそむ闇が描かれていたが、この映画も愛と背中合わせの憎しみ・嫉妬を残酷に描き出している。

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2005年06月20日

1999年3月21日(日) 「ガールズナイト」「ガッジョ・ディーロ」

 春分の日。シネスイッチ銀座で「ガールズナイト」(no.21)を観る。

 ガールズナイトとは毎週金曜日に開かれるビンゴ大会の事。家族のために工場で働き詰めのドーンとジャッキー。ドーンはある日ビンゴ大会で10万ポンドを当てる。しかしその直後ドーンは工場で倒れ脳腫瘍で死の宣告をされてしまう。残された時間を何とかしてあげたいとジャッキーは考え、ドーンの夢だったラスベガスに二人で旅立つ。


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2005年06月18日

1999年3月22日(月) 「微笑みをもう一度」「バジル」

 振替え袖日。マリオン9F日劇プラザで「微笑みをもう一度」(no.23)を観る。

 かつてのテキサスの高校のミスコンだったサンドラ・ブロックは当時の花形クォーターバックと結婚したが、夫がテレビの公開番組で彼女の親友と浮気をしていると告白し、失意のまま娘と帰郷する。

 元ミス学園で世間知らずのまま育った彼女が自分の生き方、家族などを見つめ直していく。このシチュエーションはロバート・レッドフォードの「モンタナの風に吹かれて」でつい最近見た気がするが、あれは男(カーボーイ)の物語で、これは女(テキサス女)の物語だろう。

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1999年3月28日(日) 「リトルシティ 恋人たちの選択」「コキーユ 貝殻」

 シネスイッチ銀座で「リトルシティ 恋人たちの選択」(no.25)を観る。

 ボン・ジョビのボーカル、ジョン・ボン・ジョヴィ主演というのが話題の映画。あまり期待していなかったが割と面白かった。

「頭が良くて野心のある奴はN.Y.へ、
野心だけならL.A.へ。
そして頭がいいだけならリトルシティ=サンフランシスコ」

 というように自由と住み心地を求めた人々がリトルシティに集まって、それぞれの恋愛を繰り広げていく。


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2005年06月17日

1999年4月3日(日) 「フェアリーテイル」「ヴァージン・フライト」

 銀座テアトル西友で「フェアリーテイル」(no.27)を観る。

 1920年に発表された妖精と二人の少女との写真が「コティングリー妖精事件」として歴史的に名を残す事になる。

 1999年に生きる現代人の目から見ると明らかに作り物としか見えない妖精写真を当時の社会は一大センセーションとしてとらえた。

 一つには科学の進歩から取り残されつつある古い因習や伝承を捨て去りがたい人間のノスタルジーが今以上にあり、また一つには第一次世界大戦という不安定な世相の中で神秘主義が根強く人々の心を捉えていたためだ。

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2005年06月16日

1999年4月11日(日) 「アルマゲドン」「グッドナイト・ムーン」

 有楽町マリオンの日劇東宝で「アルマゲドン」(no.29)を観る。

 お正月映画がここまでロングランしている。行きそびれていたがようやく観る事ができた。

 一つには内容が似ていることもあり比較されつづけた「ディープ・インパクト」の人間ドラマを越える事はできないだろうという前評判と先入観があったからだ。ロングランを続ければ続けるほど行きたくなくなってしまった。

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2005年06月15日

1999年4月25日(日) 「シン・レッド・ライン」

 有楽町マリオン別館の丸の内ルーブルで「シン・レッド・ライン」(no.30)を観る。

 テレンス・マリックの20年ぶりの新作だ。

 「天国の日々」でネストール・アルメンドロスのカメラの美しさばかりが印象に残っている。今回も映像が素晴らしい。

 太平洋戦争最大の激戦地となったガダルカナル島での戦いが舞台だが、史実はともかく戦争の恐怖を自然の美しさとの対比の中で描き出している。


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2005年06月14日

1999年4月28日(水) 「ライフ・イズ・ビューティフル」「逮捕しちゃうぞthe MOVIE」「ブレイド」

 代休を取って一日早く連休に突入。

 シネスイッチ銀座で「ライフ・イズ・ビューティフル」(no.33)を観る。

 アカデミー賞の外国語映画賞・主演男優賞・作曲賞を受賞してしまったので連休中は大混雑が予想されるので今のうちに観ておく。幸い平日なので空席あり。

 監督・脚本・主演のロベルト・ベニーニは既にジム・ジャームッシュの映画でおなじみだ。特に「ダウン・バイ・ロー」でのおかしなイタリア人役は強烈に印象に残っている。あの映画で恋に落ちる女性役もニコラス・ブラスキだったと始めて知った。しかも二人は実生活でも夫婦だそうだ。

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2005年06月13日

1999年4月29日(木) 「永遠と一日」「トゥエンティフォー・セブン」

 秋葉原のラオックス・コンピューター館でポケットステーションが入荷するという情報を事前に聞きつけていたので試しに10時すぎに出かけていった。200人近くの行列が出来ていたが大量に入荷したらしく無事手に入れた。


 その足で日比谷に出てシャンテ・シネで「永遠と一日」(no.35)を観る。

 テオ・アンゲロプロスの最新作だ。前作の「ユリシーズの瞳」が退屈で期待外れだったが、今回は「こうのとりたちずさんで」以来の傑作と言っていい。

 人生最後の一日を自らの過去をたどる旅をして過ごす詩人の物語だ。詩人役が「ベルリン・天使の詩」のブルーノ・ガンツで、自前のアルマーニのコートを着て年を重ねた渋い演技を披露している。

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2005年06月12日

1999年5月1日(土) 「グッバイ・モロッコ」「ワンダフルライフ」

 渋谷スペイン坂上のシネマライズで「グッバイ・モロッコ」(no.37)を観る。

 精神分析の開祖フロイトの孫娘が書いた原作の映画化。フロイトの娘は変わっていたらしく映画で描かれるように、愛人との間に出来た娘2人と一緒にイスラムの導師を訪ねてモロッコを旅する。そして愛人からの仕送りが途絶えてとてつもない貧乏ぐらしを送る。

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2005年06月10日

1999年5月2日(日) 「39−刑法第三十九条」「大阪物語」

 「39−刑法第三十九条」(no.39)を観る。

 濃密な緊張感を描いた「ときめきに死す」のような映画を期待したいところだが、商業映画としての成功が課せられている森田芳光監督の現状からはかなわぬ夢かもしれない。

 しかし岸辺一徳、樹木希林ら登場人物すべてが乾いた演技をしていて、社会的な問題(心神耗弱者の犯罪)を扱ってはいるが従来の社会派推理ドラマとは一線を画した作品になっている。



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1999年5月3日(月) 「ロリータ」「セントラル・ステーション」

 恵比寿ガーデンシネマで今日は一日過ごすつもり。中々来にくいところなので2本とも観てゆきたい。ガーデンプレイスのメイン広場では連休中の催しの大道芸で賑わっている。

 まずは始まったばかりの「ロリータ」(no.41)。

 ロリコンの語源となった小説の映画化。出版当時も今もスキャンダラスでありつづけるテーマを「ナインハーフ」「危険な情事」のエイドリアン・ラインが撮った。
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